孵化から針仔、青仔、黒仔までのケア

孵化して泳ぎだすと餌も与える事になりますし
水も汚れます。 今後、どのように金魚を育てたいのか?にもよりますが
まずは育てる場所を選ぶ必要がありますので
それぞれの特徴を書きます。

「やんちゃしたるでぇ」みたいな顔で迫ってきます。 最近はカメラを見ても逃げません寄って来ます
▲「やんちゃしたるでぇ」みたいな顔で迫ってきます。
最近はカメラを見ても逃げないで寄って来ます。

何処で育てるか?

前の投稿で書いた前段階で継続して育てられる容器を選ばれている場合はそのままでokです。

水槽
◆水量が多くできる為水質や温度の安定を得やすい
◆1ヶ月ほどして魚らしい体形になり魚の泳ぎが出来るようになれば
(→)稚魚水槽に上部ろ過を使用できるようにするアイデア
上記のリンクのように上部ろ過装置を使えるようになり更に水質が安定します。
僕は現在この状態ですがこれまでの苦労がウソのように安定しています。
(→)上部ろ過のろ材を一部もらって立ち上げる方法
◇水深が深くなりすぎる懸念
頭の部分の成長に影響すると言われています。
しかし、これは遺伝だという説もあるのでどちらの説が正しいか興味があります。
※今年はこの件を調べる為に浅い水深と深い水深で比較できるように育てています。
◇水流が強すぎる懸念
水流が強過ぎると尾が閉じると言われ嫌われます。
僕はその事よりも丸手の金魚がアスリート体形になりコメットのようになる事のほうが嫌なので水流は極力弱くなるようにしています。
水を詰めたペットボトルを水槽内にいくつか入れると水流の無い(又は弱い)場所が出来ますので稚魚は其処を好んで集合します。
深めのグラスを沈めるという方法もありますし、太いパイプを沈める方法も有名です。
(どちらも中は水流がほぼゼロになります)
水流は工夫すればどうにでもできる要因なので問題はありませんが、
稚魚が逃げ出せなくなるような急な流れが出る場所があれば弱めるか、
それが出来ない場合は泳げなくなった時、別の場所に流れ着くように
周りを十分に空けておいてください。
つまりグラスやペットボトルで囲わないようにしてください。

プラ舟・衣装ケース・コンテナ
◆浅い入れ物は共通して酸素の取り込みが良く稚魚には良い環境になります。
◆温度変化は水槽より激しくなりますが多少の変化はむしろ良い刺激です。
◆ろ過は投げ込み式やスポンジフィルターなどエアリフト方式が人気です。
◇上部ろ過を載せる事も可能ですが水流が出る事を嫌い実行される方は少ないです。
◇温度変化の問題で餌をやる事だけタイミングや量に注意が要ります。
※飼育に慣れない方はヒーターを利用してその点を補うなど工夫すると大丈夫です。
◇場所を取るので室内ではあまり多くは飼えないと思います。
※ラックなどを自作して多段式にして飼うという選択枝もあるようです。
◇基本的に水質管理が難しいので、初心者向きではありません。

隔離シェルター
◆数匹だけ育てたい場合は市販の隔離シェルターで親の水槽内で育てれば
水換えや水質管理の問題から開放されます。
◇去年既製品をいくつか見てまわりましたが
もしかすると凶暴な成魚なら突破してしまうかもしれない構造のものもありましたので
水槽の内側に取り付ける製品は強度を確認してください。
自作の場合も同じです。
◆本体がプラスチックの製品は安心です。
◇サイズ的に何十、何百という数の飼育はできません。
※これらのシェルターは親の水槽の中もしくはサイフォンで接続して外に取り付けるため
このような小さなサイズで問題が出ませんが、単独でこのサイズだと水が腐るなど問題が出やすいので、このサイズが飼育可能サイズとは判断しないでください。

えさ
孵化して数日(温度が高いと即日泳ぐ事もあるそうです)は壁に張り付いた状態でお腹の袋の養分を吸収しながら過ごすので餌は要りませんが 徐々に泳ぎだすようになると餌を与えなくてはいけなくなります。 
この最初の餌が最大の問題で、
口があまりに小さいのでそれよりも小さなものしか食べられません。
初期の頃はブラインシュリンプを沸かして与えるか、又は粉餌を細かくして与える方法が一般的のように思います。 それ以外にもかなり高価な餌ですがブラインの卵の皮を剥いたという専用の乾燥えさもあります。
ブラインシュリンプは慣れれば何とかなりますが毎日セットするのも大変ですし、失敗する事もあるので 負担が大きいようなら粉餌を細かくして与えてください。
この時餌を粉にする最終のサイズですが、これくらい細かくすればokだろう!と思う更に半分か1/4にまで細かくしてください。 粉餌は水中で少し大きくなるという事と、稚魚の口が想像以上に小さい事の両方からくる誤差を緩和する為です。 ステンレス製の網の茶漉しで漉せるくらい細かくないと駄目です。
僕は最近ようやく粉えさを与え始めました(孵化から60日後)、ここまで来るとそんなに細かくする必要も無く適当に細かくして与えますが、それでも水中に落とし、細かくしたはずの餌が沈むと、稚魚の顔より大きい時が良くあります。 今は何でも食いつくようになりましたが、最初の頃は自分より大きなものは 怖がって逃げますので食べません。
もしくは下のリンクにも追記したように一度大量にブラインを沸かしてミニミニ製氷器に入れて冷凍して自家製の冷凍ブラインを作り、それを毎日与えれば失敗などにより餌が無い等の問題は回避できます。最初の頃の食いつきが生とどの程度の差になるかは試していないので分かりませんが、少なくとも冷凍しておくと粉餌よりは有効なバックアップになりますし、粉々にする苦労もなくなります。 冷凍の製品もありますが最初の頃は大きすぎて食べられないという表記が時々あるので結局買わないまま現在に至ります。 一度買ってどのくらい大きいか見てみたいのですが、今年は既に不要なので来年以降に機会があれば買います。
水質管理が問題なくできる方なら卵の黄身を茶漉しで漉して与えると粉餌よりは良く食べます。 決して初心者向きではありません。 これは、水質管理が困難になるので最初は最も避けたほうが良い選択肢かもしれません。
不安要素が多い方は、今年は粉餌で無事に育てて一度経験して感覚がつかめてから生えさに挑戦するほうが全滅などの失敗は少なくなると思います。
詳細は以下のリンクを参照してください。
何でも良いので最初の一口を食べさせられれば、しばらくそれを繰り返せば良いです。
30日程がんばれば大きくなり、何でも食べられるようになるので、そうなれば最初のような苦労は無くなりますので、最初だけ何とかがんばってください。
(→)ブラインシュリンプ孵化の10の条件
(→)餌の種類と注意点
(→)粉餌を粉々にする方法

水換え
(→)稚魚の水換え 参照してください。
(→)上部ろ過が装備されている場合

ここまでの僕の経験で思うこと

◆最初の1ヶ月はできるだけデリケートに扱ってください。
今となって思うのですが、僕の扱いが悪くて奇形にしたかも知れない稚魚が多数います。
また、水流が強いだけでも死ぬ事もあります。
◆いつ問題が出るかもしれませんので
全滅を避ける為2つ以上に分けて育てると安心です。
決して望みませんが、僕は、かなり細かく分けているので、もし今そのような問題が起きても水槽が1つ残れば問題ありません。
◆ゆっくり育てたい方は餌を控えめに(普通に)与えるだけで
水質管理の問題、病気の問題等関連が軽減されるので
競技に出す等の目的で急速に大きくしたい場合以外は餌を控えめに与えると良いです。
急速に成長させると病気も出やすくその対応が出来ないと死なせる事もあると思います。
殆どのブログや飼育本はブリーダーさんが大会に出すような立派な魚を育てる事がベースになっていますので、自分で育てるのを楽しむだけなら同じペースで餌を与える必要はありません。
もっと少なくて大丈夫ですし、むしろ
餌は適量を与えるほうが金魚は健康的に育ちます。
ブリーダーさんたちはその事も含めて飼育技術として病気になれば塩だけで治すような知識や経験をもって挑んでおられるので真似すると全滅させるかもしれないので気をつけてください。
僕はブラインが邪魔臭くて最初だけ急ぎましたが現在はペースを落として
如何に小さいまま色が変わるところまで持っていけるかということに挑戦しています。
◆過密飼育は、かなりの時間や労力を必要とします。
忙しい方などは早めの選別で数を減らすと安心して楽しみながら育てられると思います。
◆気が付いたら全滅していた・・・という問題を避ける為にも
余裕のある水量で育てることが結果的に楽で確実です
※ただし大き過ぎる容器に少数だけ入れると
怖がって泳がなくなる餌を食べなくなる(もしくは食べたくても中々餌の場所に辿り着けない)というような問題が出る事が知られていますので
◇理想は適度なサイズでスタートして成長と共に大きな入れ物に代えるか、
◇入れ物の大きさは変えず、成長と共に選別で稚魚の数を減らすか、
のどちらかだと思います。
僕の去年と今年の 稚魚1匹あたりの水量のデータが以下のリンクにありますので参考にしてください。 今年は過密すぎて水質悪化を何度も経験しました。
去年は余裕の水量で世話していたので、水質悪化は1度も起こらない問題でした。
(→)ケーススタディ:稚魚の死因 水質悪化(1)

ちなみに現在(孵化後約60日目)ですが平均的な稚魚は上の写真のような感じで
体長が15mmくらいです。

水槽では
上部ろ過装置+60cm水槽(約59リットル)に 68匹(次回水換えまで未確定)
上部ろ過装置+ランチュウ用60cm水槽(計42リットル)に 54匹(次回水換えまで未確定)
自作水中ろ過装置+40ℓコンテナ(約40リットル)に 66匹
自作水中ろ過装置+ランチュウ用60cm水槽(約40リットル)に 86匹
等で
1匹あたりの水量は、
それぞれ
0.86ℓ/匹
0.77ℓ/匹
0.60ℓ/匹
0.46ℓ/匹(過密かも)
となります。

特に上記の2つは上部ろ過装置のろ過能力もあり安定度も抜群です。

コンテナでは
青コンテナ(約20リットル)に 24匹
青コンテナ(約20リットル)に 33匹
等で
1匹あたりの水量は、
それぞれ
0.83ℓ/匹
0.60ℓ/匹
となります。

こちらは、ろ過装置が無いので今日、投げ込み式のろ過装置を2つ買ってきました。
(本当は自作する予定でしたが仕事が入ったので既製品で運用する方向に変更しました)

全ての水槽で、もう少し数を減らして、最終的には(去年のデータより
1匹に2~3リットルあると稚魚の間は安心
なのでそこまでもっていきます。

※また僕の場合は最初の1ヶ月はブライン餌で大きくして
何でも食べられるようになった現在は餌を減らして
あまり大きくしないようにして育てた結果の60日目なので
大会などを目指す方とは比べられないほど小さな稚魚です。
このほうが管理がとても楽で、何より飼育が重労働ではなくなるので、楽しいです。

以上が僕が思う
一般の方が稚魚飼育を楽しむ為に知っていただきたい基本的な注意事項です。
最初はいろいろと分からない事が多いと思いますので念のため書きますが、
はじめて稚魚飼育をされる方にも、将来は賞を取るような金魚を育てるぞ!と考える方も居られると思いますが、そのような場合は僕のデータや飼育方法は完全に誤ったアプローチになるので参考にせず、そのような経験が豊富な方のデータを参照して飼育するほうが良いです。
僕のように 何処にでも居るような普通の金魚の稚魚を育てるのに時間や手間を掛けてブログにしている人は多分少ないので、何かしらの立派で凄い金魚を育てようという方には参考にならないデータだと思います。 
少数派だけに情報が少なく、プロやセミプロのような方々向きの情報ばかりの中、何とか自分用に解釈しなおしてやりくりした去年、その反省を加味して実行している今年、それらの経験で気づいた事を何とか、自分と同じような方に届けたいと思っています。
ここで対象にしているのはそのような自分と同じ一般の方です。
例えば、
少しだけ稚魚飼育を経験してみたいとか、
ある日突然卵が産み落とされていて何とか金魚にまで育ててあげたい(=僕です)
という方がより安全に金魚にまで育てられる為の役に立てばと思っています。
もし立派な金魚を育てようと思っておられる場合は、上記のデータは参考にしないでください。
のびのび泳がせて金魚を”創る”には、1匹あたりの水量なども全く足りないはずです。
この辺の数値は意図的に室内で金魚を飼う僕達に無理のない適切な数字に補正してデータを取っています。
稚魚の間 1匹に2~3リットルあると安心 というのもコレだけあれば過密が原因で水質悪化にはならないという意味での安心という事です。
去年はその事にも気付かず最初はプロの養殖業者さんの公開されているデータを参考にしていましたが、途中から最終的に室内では無理な数字である事に気付き自分の環境で出来る範囲に変更しました。

無事に可愛い金魚に育てる為にも、餌や水質管理だけは気をつけてください。
最後になりましたが リスクヘッジ以外の理由でも水槽を分けることが有効な事例を紹介します。

成長度合いを調整する

よく金魚は胃が無いので与えただけ食べると言われていますが
稚魚に関しては結構早く限界に達してそれ以上食べられなくなる量が存在します。
もちろん時間が経過してまだ餌が新鮮なら、またお腹一杯まで食べてまた休憩・・・この繰り返しです。 それでも食べきれないほどの量を入れておけば次の日まで残っています。去年はこの方法で世話したのでかなり大きくなり困りました。餌も毎朝、糞と一緒に吸い上げて捨てていました。
逆に言えば、限界無く食べ続けて死んでしまうことは無く、まだまだ成長途中の非力な浮き袋ではしばらく浮上できないほど、かなり無茶なお腹の大きさになるまで食べますがその後の餌は底に残ったままになります。
ですので ブリーダーさんのように底に溜まるほど餌を与えていれば皆が限界まで食べるのでさほど問題になりませんが、 少ない餌で管理していると、どうしても餌食いの差で大きな稚魚や小さな稚魚が出てきます。 口の大きさ、尾びれの形や開き方による泳ぐスピードの違い、活性の違い等の 稚魚側の差異も関係するので人間がコントロールするのが難しい部分です。
そのまま放置するとかなりの差になり共食いの問題も出るかもしれないので
最終的に一緒の水槽で飼いにくくなるので僕は去年も、いくつかのグループに分けて大きさが狂う度に近い大きさのグループに移動して管理してきました。(去年は3人の里親さんが居たので自分の分とで4つのグループに分けてグループ内での個体差が出ないようにして、どうしても吸収できなかったものは自分のグループに入れました。僕は水槽も多くあるしどうにもできるからです。)
今年でいえばシェルターという小さな水槽を用意して、成長不良の仔を全てそこに集めて
ブラインを多めに与えて大きくなれば元の水槽に戻す作業を行いました。
またあまり早時期から赤ムシを与えだすとこの問題は急速に個体差となり出てきます。
ほんの少しの口の大きさの差で赤ムシが食べられる仔と食べられない仔
この差で一方は急に成長し、一方は現状維持に留まるからです。
一度大きくなればバクバクと赤ムシを食べるので放置すれば大きな差が出てしまいます。
このような時所定の水槽に小さな仔を集めて多めにブラインなどの餌を与えれば稚魚の成長は早いので直ぐに追いつきます。
これの繰り返しで何度も何度も小さい仔を見ればシェルターに入れ、大きくなれば出す を繰り返せば、殆どの稚魚の大きさを揃えることが可能です。
今年唯一の例外として、青いコンテナ2つの魚は特別に最初から一度も深い水深を経験させていないので、ここから出した魚は戻さず特別に飼育してきた為、シェルターの使用を避けてきたので、このグループは他のグループより成長の差が出てしまいました。
一時期は青コンテナ専用のシェルターを設けて成長を合わせようかとも思いましたが、手が回らず、そのままにすることにしました。
まあ何と言っても未だ2回目の稚魚飼育なので知らないことのほうが多く、データもろくに無いのでバラエティに富むほうが比較判断もしやすいと思う為、青コンテナだけは伸び放題の雑草飼育です。
もっと広くて設備が整った場所ならいろいろ比較実験して確認したい事もありますが
仕事も入ってきてしまったので今年はこれ以上金魚に時間をさけない事もあり
これ以上手を広げられませんが集められるデータは少しでも多く集めようと思います。
少し話がそれましたが
稚魚の大きさを調整するのにシェルターを作る事をお勧めしますというお話でした。

2ヶ月目の稚魚の姿です。これ以上大きくなるな!と願っています。
▲こちらは上の3匹とは違い、体長25mmと計画している色変わり予定サイズを既にオーバーしてる 飼い主の飼育意図を汲まずにどんどん大きくなる2ヶ月目の稚魚の姿です。
頼むから、これ以上大きくなるな!と願っています。体形だけは早い時期に固定されるので、今は痩せさせたくないけど大きくもしたくない。 このへんは飼育経験が浅い僕には上手くコントロールできない問題点です。