バクテリアのウソホント:水をピカピカにしてくれる有機栄養バクテリア

沢山の方々にアンケートにご協力いただき感謝しています。
これから徐々に記事として公開させていただきます。
ご協力本当にありがとうございました。

◆ろ過バクテリアが減ると水が濁る

答え: 間違い
ろ過バクテリア(無機)と濁りを食べるバクテリア(有機)は別の種類なので
連係プレイではありますが、処理は独立していますので
濁りの処理は別のバクテリアが行います。
 

◆水が濁ってきたので水換えをした

答え: 正しい
しかし・・・・換えれば換えるほどその濁りを食べるバクテリアを捨てるので
濁る原因になりますので今回の記事を参考に適切に対応してください。
コツは1回で解決する事です。
何度も換えていると収束しなくなります。
そうなればリセットするほうが早くなります。

これらに関した事を記事にまとめました。
かなり重要な基礎ですが、僕は最近まで知りませんでした。
専門家の方に教えていただいて、その後もういちど自分で勉強しなおしてようやく理解した内容です。 僕と同じように これらを混同している方も多いのではないでしょうか?

有機栄養細菌・無機栄養細菌

まず最初に
とても重要なのにあまり解説されていない2種のバクテリアの違いに関して

A)有機栄養バクテリア(=有機栄養細菌=従属栄養細菌)
糞・尿・餌の破片・水の濁りの原因など有機物を食べて分解
二酸化炭素やアンモニア等の無機物へと変換するバクテリアです。
水の濁りを食べてピカピカにするバクテリアです。
これは一度出れば24時間で水槽一杯になると言われているようですが
経験上は濁りが無くなるのに2日から3日は最低でもかかり、長いと1週間くらいかかります。
とても原子的な細菌で食物連鎖全てのスタート地点です。
種類もかなり多いようで水槽に出現するのは1種類とは限りません。
これらのバクテリアが有機物を食べてアンモニアを作り
次のB)無機栄養バクテリアがそれを処理するという流れです。

B)無機栄養バクテリア(=無機栄養細菌=独立栄養細菌)
ろ過バクテリア とか 硝化バクテリア と呼ばれる皆さんご存知のバクテリアです。
こちらは無機物を分解して別のものに変えたり無害化したりします。
いわずと知れた2つの属が有名です。
つまり 
アンモニアを亜硝酸塩にする ニトロソモナス属と 
亜硝酸塩を硝酸塩にする ニトロバクター属
です。
※専門家の間では別の説もあり上記の2属以外の名前も登場しますが
 ここでは最もポピュラーな2属を例に挙げておきます。
 (これは誤認だという有力な説もありますが名前が売れているのでここでは
 デファクトスタンダード的な扱いで掲載しておきます。)
 ちなみにこの分解を行うのはこれらの2属だけではなく
 上記以外にも同じようなプロセスを行うものも居るそうです。

念のために現在最も有力な説では
アンモニアを亜硝酸塩にする ニトロソモナス属と 
亜硝酸塩を硝酸塩にする ニトロスピラ属
のようですが
これら以外の存在も語られているのを見ますし、
経年変化によるアクアリウム内でのバクテリア達の熟成を考えていくと
長年リセットしない水槽には、
ここに名前が出ている属以外も居ると考えるのが自然です。

ここでお分かりのように
A)が水をピカピカにしていて
B)が水を無害化しているという事で
白く濁った無害な水 や ピカピカで有害な水 というのもあり得るのです。
つまりろ過バクテリアが減少してもピカピカとは無関係といえます。
両者のプロセスは密接に関係していますが、別のバクテリアによる別のプロセスなのです。

だから水がピカピカ=安心ではないのです。
例として ピカピカ水で出るアンモニア中毒なんかはとても怖いパターンです。
<ピカピカなのにアンモニアだらけの水になるメカニズム>
A)が機能していると水はピカピカになります。
同時にA)が糞など有機物をアンモニアという無機物に変えるので
アンモニアが増えます。
ここでB)が機能していればアンモニアも減るのでOKですが
B)が機能していなければ、ピカピカなのにアンモニアだらけの水が完成します。

同様に水の上澄みがドロドロしている時は
A)が仕事をしていない(又は餌の与えすぎで処理が間に合わない)ということで
B)の毒性とは別の問題といえます。


▲メチレンブルーではありません
アンモニア検査で要求される20分後の色です。
完全に緑を超えて青になり計測不可能です。
この時は6分から7分経過した時既に緑色の5.0mg/Lの色でした。
最近、これがあらゆる水槽で検出され大変なことが起きました。
詳しくは以下の記事の後半にケーススタディを掲載しています。
(→)アンモニア中毒の恐怖
これが水の見た目で判断する怖さです。
せめて濁ってくれたり、ドロドロってくれたり、泡ってくれれば
危険を感じて対応しますが、ピカピカだどどうしても安心してしまう傾向にあります。
こんな時は魚の動きが重要です。
1匹でも底で長く休んでいるようならアンモニアを調べて見て下さい。
青くなると思います。検査結果も・・・飼育者も・・・

僕は最近までこの2者を混同していて
水がドロドロ=危険 とか 水が濁る=危険 のような判断をしてしまっていました。
勿論これが餌の与えすぎなどで A)もB)も対応できない状態なら=危険で正しいのですが
プラ舟ではなくサイクルが完成した上部ろ過のついた水槽の場合は特にこのような判断は誤りなので
問題を感じたら勘に頼らずきちんと水質検査して確認する必要があります。
水槽飼育は勘や経験則より、基本的な理解と科学で安全に管理できます。

またこれ以外にも多くのバクテリアが存在し
C)として
水質検査では確認できない雑菌(更に別のバクテリアです)も多く存在するので
常に信頼できる状態を保つためにもエアレーションや適度な水換えで正常なバランスを保つための後方支援をしてあげてください。
金魚にとって特に問題なエロモナス属以外にもラコッカス属、コラムナリス属、ビブリオ属、アナエロビック属・・・・たくさん居るようですが重要なのは増殖スピードが劇速なことです。
これらは20分から30分で一回分裂します。
参考までに
金魚の味方のバクテリアは10時間から36時間で一回分裂します。
ですので敵のほうは増えだせばとても早いので注意です。
また
金魚の味方のバクテリアは冷たい温度、敵バクテリアは高温を好み
味方バクテリアは酸素が多い環境、敵バクテリアは酸素の少ない環境を好む傾向があります。

濁り取り

飼育水の白濁りの種類別攻略法
 
水をキラッキラッ★にする方法(単にキラキラではなくキラッキラッ★です)

水が濁るというのは1種類の原因ではありません。
少なくとも僕がこれまでに経験した幾つかの種類があります。
ここではその種類とそれぞれの濁りを取る方法をご紹介します。

1)塩素が除去できていない

あまりに基本的なミスですがカルキ抜きと間違って似たような製品を購入してくるなど
何らかのミスで起きる事もありますし、
抜いたつもりが不十分と言う事もあると思います。
この場合は急いで即効性のあるカルキ抜き(塩素中和剤)を入れる事で濁りは徐々に消えます。
この濁りの多くはバクテリアが死んでいるので他の誰か(バクテリアが)食べて次の日には消えます。

▲あまりに使用量が多くなりこれに切り替えましたがそろそろ使うのをやめようと思っています。
色々経験して、影響が無いとは言えないようなので
これまでどおりのエアレーション2日に戻す予定です。

ちなみに数年間カルキ抜きは使用していませんでしたが使用すると
最初はカルキが完全に抜けているのに何度か白く濁りました。
写真で判断できないほどの薄い濁りですが目には見えるレベル
そんな濁り方でしたが数回水換えするとこの薬品に水槽が慣れたのか消えました。


▲塩素に関しては中和できているか確実に調べたほうが今後も安心ですので
塩素を確認するテストキットをご利用ください。
ちなみに僕の環境では
エアレーション1日では塩素が検出されます。
2日目にはゼロになります。
上記のカルキ抜き使用時は規定量の6割から7割で十分カルキが抜けています。
季節ごと、また天気の荒れた後なんかにも検査して噂を検証したいと思っています。

2)ゴミや糞や餌などの破片がろ過装置でうまくろ過できない濁り

これは投げ込み式が詰まった時や上部ろ過装置を洗った後などによく出る問題で
ゴミそのものが目に見えるのでとても気になる問題です。

上部ろ過の場合は洗ってから水槽に装着する前に綺麗な飼育水で空回しするか、水槽に装着後最初の2Lから3Lを何かで受けて捨ててしまう方法がベストかと思います。

投げ込み式の詰まりや能力不足には自作の水中スキマーが有効です。
だいたい半日~24時間で水中のゴミは全て中に取り込めます。
上部ろ過のある環境では不要ですが、コンテナやプラ舟飼育などでは1つあればゴミ掃除に威力を発揮すると思います。
今年から使っていますが水中を浮遊するゴミを半日で見えないレベルまで取ってくれるのでお勧めです。
作り方は相変わらず手抜きですが水中ポンプの吹き出し口にペットボトルの上半分を付けてその出口部分にウールを充填するだけです。

▲ゴミがウールにキャッチされる事で除去するので水中ポンプには物理ろ過になるものは何も付けず全ての浮遊物がウールまで無事に辿り着くようにしてください。
お勧めです。
これで濁りが取れない場合はその濁りはバクテリアレベルの仕事ですので3)を参照してください。

3)餌のやりすぎで水が富栄養化した濁り(←多くはこれだと思います)


俗に言うタンパク質など有機物による白濁りです。
これは有機栄養細菌が食べてくれるので
通常は安定した水槽なら仮に出ても放置すれば数日で透明になります。
しかし立ち上げた直後などでまだ有機栄養バクテリアが安定していないと水を換えれば換えるほど濁りやすくなると言う負のスパイラルに入ります。
ですのでこの場合は2つの選択肢をご紹介します。

i ) 水を80%~100%捨てて新しい水を入れる
その後は毎日餌を極限まで減らして2週間ほど濁らないように管理
途中で濁りそうになっても餌を減らして調整
これで透明になるはずです。
※この方法は最初に大きく換水してしまい問題物質を出してしまいます。
 その後はあまり餌も与えず、水換えも起こさず有機栄養バクテリアが働くのを待ちます。
※この方法が効かない場合は、金魚を入れすぎているとか 
 水槽が小さすぎるとかの問題も確認してください。
※立ち上がっていない水槽でもこの方法で対応できます。

ii ) PSBを添加する

立ち上げ実験にからんで購入して実力を検証しました。
残念ながら立ち上げに関しては何らかのプラスになっているかもしれませんが
目に見えて早くなるとかの結果が出なかったので
2週間経過後、PSBによる立ち上げ実験は破棄しました。

しかし、予備実験をした中で
この製品は濁りを取る能力が高いと分かりました。
現在ではコンテナなど依然飼い込み中の飼育タンクに入れています。
(水槽は自家産のバクテリアで安定しているので外部製品は何も入れません。)
水を頻繁に換えないといけないような時には役に立つというのが
ここまでの僕の感想ですが、あくまで全ては当たりをつけるための予備実験ですので
今後機会があれば、同じ水を2箇所に分けて同じ大きさの金魚を入れて
その差を比べないと、入れなかった場合どれくらいで透明になるかは確認していませんので分かりません。
入れれば数日から1週間以内に透明になるという感じです。

ちなみにPSBは別名 光合成細菌と呼ばれ 上記のA)有機栄養バクテリアの一種です。

この場合も念のため先に半分程の水は換えます。
(増えすぎた有機物を減らして処理を楽にする事と
 新しい水=酸素が溶け込みやすいので
 これによりPSBの活性を上げるためです。 
 これだけでも効率がUPします)
※エアレーションは必ず必要です。細かな泡が出ているとモアベターよ。
その後、PSBをボトルに記載された規定量かその1.5倍くらいの量を入れます。
一時的により濁るような状態になる事もありますが
2日か3日で透明になってきたと感じられるレベルの変化が出ます。
だいたい5日から7日程度で透明になると思います。
※PSBは休眠状態ですので活性化する必要があります。
 あまり水温が低いと活性化には不利です。
 具体的には
 PSBは冷蔵庫(5℃~10℃)で休眠状態を保ちますので
 その付近の水温では活性化し難いです。
※効果を確実にする為に最初の数日は毎日規定量を投入するのも良いです。

※透明≠安全 なのでキラキラしているからと安心しないでください。
餌を与えすぎると総アンモニア値が極度に上がりますが見た目がキラキラで気付かなくなる事も多いので気をつけてください。
キラキラに安心せず、できる限り定期的に水質検査して状況を把握する事をお勧めします。

メジャーな問題は以上だと思います。
その他に番外編で

4)産卵時期のオスの精子


産卵期ならオスの精子の場合もあります。
この場合は大量換水したほうが良いですが
卵がある場合などはそのままにしたり
手でかき混ぜたりして受精率を上げようとする方も居られるようです。
いずれにしても 最終的には殆どの水を換えた方が良いです。

5)青水化の直前の濁り


ちなみに3)からこの状態になる事もあります。
青水になる時は一度白く濁ります。
透明から徐々に色が付くような場合もあるようですが
僕は毎回濁りましたし、外で無理やり太陽光を当てて作るときも濁りました。
この時点で水換えすると青水が出来ないと思います。
青水になる条件である水中の栄養分を捨てて新しい水で薄めてしまうからです。
この青水化を阻止する最も効果的な方法は日光を当てない事です。
そうすれば直ぐに透明になります。