金魚リサーチ考:図書館

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▲国立国会図書館
天気が悪かったのでHDR処理しています。

10年前くらいからインターネットが
とても便利になりリサーチの大半はネットで出来るようになりましたが
やはり専門的に調べるには今も未だ図書館に行く事が多いです。
僕の住んでいる所から車で約15分の所に
国立国会図書館があります。
仕事の調べ物は常にネットで関連情報を調べてアイデアが固まれば
図書館で詳しく調べるのですが
これまでに利用してきたどの図書館よりも落ち着きます。
近くにお住まいの方は是非一度訪れてみてください。
中の雰囲気は図書館と言うよりも美術館です。
こんな素敵空間で本が読めるのはとても贅沢だと思います。

話を図書館に戻しますが
小さな図書館でも今はネットワークになっているので
本が所蔵されていなくても検索で日本の何処かに見つけられれば取り寄せてもらえますので
必ずしも大きな図書館である必要はありません。

また図書館の本の検索システムにGoogleが介入してきている場合は問題ありませんが
旧式の検索方式でデータベースのみを検索する方法では
著者名や本のタイトルを知っている場合以外では
本が目の前にあるのに検索で見つからないケースが多いので
事前に本の情報はGoogleなどを利用してタイトルや著者名まで検索を済ませてノートに書いて行くと確実です。
実際、これまでに何度も図書館のOPACでは見つからなかった本がGoogleやAmazonの検索で出てきて
そこから得たタイトルを再度OPACに打ち込むとヒットして
図書館に所蔵されていた事が判明した事もありました。
大学や地域の図書館で調べ物をする機会が少ない方や全く未経験の方で
ネット検索に慣れている方は特に図書館のOPACは使い難いと思います。

実際の利用例ですが
最近金魚関連で調べた事で言えば、
現在エアレーションや生物濾過装置無しの飼育法を実験中で
その関係からエアレもエコシステムも存在しなかった大昔の飼育本を参考にするアイデアを思いつき10冊程探して読んでみました。
流石に明治30年頃に書かれたもの等は中国語と同じくらい難解で

餌を興ふるには能く興ふる時刻と分量とを定め・・・満足せしむる様に興ふべし


こんな感じです。
僕は古典とか旧仮名遣いとか大の苦手なので
3回ほど読んでようやく意味が分かるような感じです。
また単語が現代では存在しないものが多くネットで検索しても、らしきものすら無い事もあります。
それでも夢中になって読んでいるのは中身の濃さというか
読んでいくと、この時代で既に飼育法のかなりの部分が確立されていた事が良く分かります。
ただバクテリアを利用したエコシステム以前の飼育法なので
水換えなどは毎日換えるのを基本にしている事が多かったり
栄養学も発展途上な時代だったので
今では禁止餌リストに並ぶものが多く餌として紹介されています。
ですので給餌と水換えは少し現代とは違うようですが
それでも天候や温度変化の読み方などハイテクの無い時代ならではの知恵など
参考に出来る事がとても多いです。
ただし金魚の行動で天気予報を行うコーナーがあるのですが
最新の気象レーダーシステムとスパコン解析でも無理であろう
翌日の局部的な場所の風向きまで断言しているところが大らかな時代を感じさせてくれますw

また最近の飼育本ではあまり説明されないような遺伝の話
例えば、チャリコ琉金を作出するのに具体的に何と何を掛け合わせれば良いか?
金魚の種類だけでなく鱗の種類なども含んで事細かに説明されているとか
獅子頭は優性遺伝するけどカシラにはオスの特徴が強く出る話とか
そうだったのか!という内容がとても多く掲載されています。
実はこれを見て 去年生まれた1世達の顔の発達が心配になったりして肉瘤実験を強行しました。

病気の治療法も独特の世界観があり
マツモを切って肛門に差して卵詰まりを治す方法など興味深いものがありました。
絶対やりませんけどw
この当時は転覆病という概念は無いのか
背干病という背中を水面に出したままになる病気が紹介されていました。
お茶目なのは治療法の部分に

其病原及治療法を知らず

(現代語訳→)その病気の原因や治療法は知りません
と書かれていた部分です。
やはり当時からミステリアスな病気だったようです。

またこの時代でないと許されないような、
今やれば確実に著者のサイトは炎上
出版社もろとも壮絶な批判に晒されるような
動物虐待を気にもかけずに行われてきた数々の残虐な動物実験も克明に記載されていました。
例えば
黒い金魚を作るために眼を焼き切って視力を奪う事で実現したり
視力と嗅覚の優位性を見極める目的で1匹は目を焼き、
もう1匹は鼻を焼いて機能しなくして
どちらが早く餌を探し出すかの実験なども紹介されていました。
念のため書いておきますが、目が見えない金魚が勝ちます。
金魚は嗅覚が特に優れていて餌は匂いで探すからです。
ただし出目金よりも琉金のほうが餌をピンポイントで捕捉出来ている事から視力による補助が有効なのも事実です。

また、飼育本なのに、何故か分かりませんが 金魚の味に関しての記述があり
誰か金魚を食べたの?と思いながら少し読みましたが
調味料の説明などであまりにリアルなディテールが見えてきたので
途中で ヤバイ!って感じたので読み飛ばしました。
世の中には知らないほうが幸せな事も沢山あるのでこれはスルーです。

このようにもはや現代ではあり得ない、誰もやろうとも思わない野蛮な内容も多く出てきますが
そこに目をつぶれば役に立つ情報が多いと感じるものが多い気がしました。

知的好奇心が旺盛な方は図書館で探してみてください。
言葉は難解ですがページ数はどれも100から150ページ程度しか無いので読みやすいと思います。
個人的には明治時代のものは解読に苦労する部分や
解読不能な部分がありましたが、大正時代にもなればかなりすらすら読めました。
写真は無く殆どが挿絵(イラスト)ですが明治時代のものは
浮世絵みたいなタッチで幽霊みたいな形をしており
魚のお化け?みたいで金魚に見えないものが殆どですが
昭和に入ると一気にリアルなイラストになりますので
この辺も比較してみると楽しめます。
時期としては戦時中から戦後直後のものが内容が濃かったです。
(というか戦時中に金魚の本とか良く出版できたなぁと思いました)
皆さんも是非図書館で
メチレンブリュー という単語を見つけて
こんな大昔からあったのかぁーー とか感動してくださいw

また、同時に以前に読んだであろう
現代の飼育本も読んでみました。
5年前には良く分からず読み飛ばしていたような部分が今読むと
面白かったり、同じ本でも読む度に新しい事が学べて
何度も楽しめるなぁと感じています。

仕事柄、本の数が物凄く多いので最近は図書館で読んで
どうしても手元に置いておくべきと強く感じたもの以外は
買わないようにしていますが
それでも本だけは増えてしまうのが悩みです。
一時期は自分で所有する本をスキャンしてデジタル化(PDF化)したり
デジタルフォーマットの本を入手したりもしましたが
やはり本は紙のほうが読みやすくHDDのクラッシュで何万冊ものデータを瞬時に失う心配も無いので雑誌以外は紙で買うようにしています。
ちなみに金魚の本は1冊も買ったことがありませんw ごめんなさい。

昔は本を買うことで満足してしまう事が多く購入後はパラパラと見て二度と開かない・・・みたいな事もありました。
本との関わり方は人それぞれですが、僕は個人的に自分の住む場所に膨大な数の本を並べていつでも読める状態にしておく事よりも
図書館でベストなコンディションに自分以外の誰かが管理をしてくれていて
僕はそれらを読みたい時に訪れて読む方式がとても気に入っています。
日本にもBarnes & Nobleスタイルの本屋さんも増えてきましたが
やはり図書館のほうが落ち着きますし選択の幅の広さ(情報量)でも有利です。

冬の時期は金魚の世話もひと段落する方が多いと思いますので
図書館で好奇心の趣くままに本を読み漁るのも楽しいと思います。