ヒーターを使う治療(加温治療)

temp_heater
病気の金魚を加温して治すには注意が必要です
冬に病気になれば必ず加温するような流れになりがちですが
実は夏や冬は加温しないほうが安全に治せる事も多く
加温で止めを刺してしまう事も同時に多発すると思うので
その点に関して少し・・・

基本的には僕は加温治療はしません。
加温すれば必ず下温することになるので
その時に再発のリスクもありますし
何より不要な温度変化を経験させないほうが金魚の負担が減りますので
普通はその温度のまま治療して治ればそのまま安定させます。
(下温が無いので安心です。)
しかし、それ以外に治療方法が無い場合や、
最低水温をどうしても高く留めたい時にはヒーターを使います。

感染症を警戒している時の加温

感染症は細菌の繁殖を抑えることが重要なので
基本的に加温はしません。

しかし秋や春などで温度の上下差が出過ぎると
金魚が弱る為、この1日の温度の上下差を可能な限りなくす事が
僕のヒーター利用の主たる目的です。
つまり下温させないようにヒーターを使います。
※最高水温を上げるのではなく
最低水温が低くならないようにヒーターで補助する感じです。

使い方としてはヒーターの設定温度を
その日の最高水温(気温ではありません水槽内の水温です)にセットします
昼前なら、昼以降にセットしてください。
これは夜中から明け方に温度が急降下するのを予防する措置なので
昼に記録する最高水温と同じかそれよりも1℃か2℃低くてもOKです。

これで1日の温度変化を1℃から2℃程度という
安定した治療環境を構築して金魚の回復を後方支援するわけです。

同様に1日の中での変化は5℃までという基本ルールがありますが
これは健康な金魚に対して問題が出ないであろうというルールですので
病み上がりの金魚、購入したての金魚、そして病気の金魚には適用しないほうが安全です。
しかし治療1日目に1回だけジャンプスタートを切る為に5℃程度を限度として
加温するのは問題ないと思います。
次の日以降は温度変化をさせずに最低数日は固定してください。

転覆病のときの加温
 
僕がこれまで経験したケースでは
通常は塩水浴&絶食で治るか?全く治らない(ストレス系)か?が多いのですが
今年は2回加温治療を行い そのうちの1回はそれだけで治りました。
塩水浴&絶食では直ぐに元に戻るケースで実行しました。

季節の変わり目などで温度が急に下がった場合は
下がる前の状態に戻すと言うことで
このタイプの加温治療が有効です。

このような場合の加温は1日に3℃から5℃くらいを目処に上げます。
そして次の日、その次の日は同じ温度にしたまま慣れさせて
次からは3℃を最大としてまた1日で上げます。
合計で約10℃を9日間かけて上げるのを限界として上げます。

これで駄目なら更に温度をキープして治療
又は
10日~14日ほど同じ温度でキープして
安定してからもう少し加温しても良いです。

※僕のケースもそうでしたが
これで治る場合は数日以内に好転するはずです。
ここには
念のため長期化する場合も対応できるように書いておきます。

例)
12日 10℃
13日 15℃ 昼前から夕方に10℃を15℃に変更
14日 15℃
15日 15℃
16日 18℃ 昼前から夕方に15℃を18℃に変更
17日 18℃
18日 18℃
19日 20℃ 昼前から夕方に18℃を20℃に変更
20日 20℃
21日 20℃
22日 20℃



(治るまでキープする)
又は
(10日から14日ほど固定してからもう少し上げる)

1日で5℃も上げるのは
加温を急いでいるだけではなく
温度が変化しない時間をより長くして安定させる事で
金魚の順応を助ける為です。
可能なら3日おきではなく5日とか1週間固定してから次の温度に移行しても良いです。
この方法は30℃など高温にすれば治ると言うものではない事を理解させてくれると思います。
重要なのは金魚の体調がよくなる温度まで上げることです。
(普通はそのときの水温から5℃も上がれば十分と思います)
こうすれば問題が除去されやすいので
その温度が20℃なのか23℃なのかは分かりませんが
数日以上安定させる事で判明するはずです。

この安定させて回復させる方法は他の病気でも同じで
無理に加温すれば加温によるストレスが加わり
回復させるというメリットを失いますので
元の温度から10℃以上上げる時は、
自分が何をしているのか十分に理解し
問題が無い事を確信できる時だけにしてください。

また下温は可能な限りマイルドに行わないと
治療が成功しても元に戻る可能性も有りますし、
うまく行かなかった場合も急な下温で更に体調を崩す事もあります。

また温度を安定させている限り
その温度で何日キープしても問題は無いはずですので
治療効果が出た場合は特に
完治してから暫くはその温度で生活させてあげてください。
あまりに早く下温を始めると再発するかもしれません。

その他の転覆病治療は
(→)転覆病の治療法

byura_at15
▲結局青水でも効果なく沈没@15℃
2匹の間に居るのは貴重な貴重なブラックオラゴンちゃん
黒仔のままの黒ではなく鱗が黒いという珍種です。
だからボディがメタリックブラックなんです。
自家産です。
byura_at20
▲仕方ないのでヒーターONの過保護な治療開始で元通り@20℃
結局5℃の加温で済みました。
この時の水は塩水ではなく飼育水にしました。
毎日取り替えなくて良いようにと選びました。
現在は回復後の安定期間としてこのまま20℃でしばらく生活させて1週間ほどしたら下温開始しようかなと思っています。

白点病のときの加温

これは白点病の記事に書きましたが、余ほどの確信がない限りやらないほうが安全です。
金魚は温度の上下変動で体調を崩して白点が付いたのなら
加温すれば金魚は更なる温度変化で弱ります。
一方白点は温度上昇で後方支援を受ける形になり逆効果です。
治療も白点病の記事に書いたので割愛しますが、水槽内で行うよりは分けるほうが理にかないますし
何より分ければリセットが不要ですのでバクテリアへのダメージも限定的です。
(→)白点病の治療

その他 どうしても加温が必要と判断する場合

これまでの記述でお分かりのように
加温して助けようと思っても
金魚は温度の変動が急だったり、大きかったりすると
逆に弱ります。 変動スピードさえ遅ければ
夏は35℃、冬は10℃でも元気にしていますが
25℃付近の快適ゾーンでは急に2℃下がるだけでも餌喰いや動きが悪くなる事も多くありました。
ですので加温する場合や治療が完了して元に戻す際は
1日に1℃ではなく、3日から5日に1℃(温度変更は一気に1℃を1日で変えてOKです=細かく刻む必要はありません)
くらいのペースで行うと治療中も治療後も金魚の元気さを保てます。

例)
12日 25℃
13日 26℃ 昼前から夕方に25℃を26℃に変更
14日 26℃
15日 26℃
16日 27℃ 昼前から夕方に26℃を27℃に変更
17日 27℃
18日 27℃
19日 27℃
20日 27℃
21日 28℃ 昼前から夕方に27℃を28℃に変更
22日 28℃
このように およそ3日から5日で変動させていけば無理が出ません。
変動させるのは昼前から夕方にしてください。
自然な1日の温度変化に似せた温度変化が金魚への負担が少なくて良いです。
同様に下温は夕方に行います。

同様に更に過激に温度を上げる場合は、変化が長く続くより固定期間が長いほうが有利なので
例)
12日 25℃
13日 28℃ 昼前から夕方に25℃を28℃に変更★1
14日 28℃
15日 28℃
16日 28℃ 
17日 30℃ 昼前から夕方に28℃を30℃に変更
18日 30℃
19日 30℃
このように変化しない日を少なくとも数日間に入れてください。
こうするだけで金魚は元気さを保てます。

これ以上急な加温は最近したことがないので分かりませんが
飼育初期の頃、1日1℃なら大丈夫と思って1週間で7℃上げた時
かなり弱らせたので継続的な加温も減温もお勧めしません。
結果的には直上の例と同じ変化ですがこの例の方法のほうが
トラブルが出難いです。
変動幅も5℃から10℃がMAXだと思います。
1週間で1つの季節を移動するような加温、減温は危険です。
1日1℃というのは1日限りなら問題ありませんが
毎日やればいずれ大問題になります。
つまり、
上記の転覆病のケースのように
9日で10℃上げるのはそれだけリスクの高い方法ですので
金魚の様子をよく観察して不安があれば数日加温を遅らせて
同じ温度をより長く経験させてください。

無理に上げると とどめを刺す事になります。

★1
温度を徐々に上げる、
これは金魚には良い事ですが、金魚が気付かないほど徐々に行わないと逆効果で
いつまでもだらだらと温度が変化していれば金魚は弱ります。
特に温度変化は金魚の全てのコンディションを左右しますので重要です。
ここで金魚が体調を崩して白点病になるメカニズムを思い出してください。
人間がヒーターのダイヤルをコントロールするよりはるかにスムーズに温度が変化しますが金魚は弱り白点虫に寄生されてしまいます。
何故でしょうか? それは温度が上がったり下がったりと落ち着かないからです。
その点でも上記の例のように1日で徐々に25℃から28℃に変化させて数日は全く変化させない安定した日々を金魚に与える。
この方法が金魚に味方します。
金魚は温度変化の無い期間が長いとその環境を受け入れて全てをその温度に合わせて調整します。(=本来の調子が出せます)
この温度が固定せず何時までもだらだらと変化しているとこの調整が付かず何時までも不安定になります。(=弱ります)
多少、ドラスティックに思われるかもしれませんが、だらだらと何日も変化させるより安全です。

更に金魚に良い状況を作るため
温度変化は自然の変化と同じく朝から夕方に上げてください。
これは金魚以外の動物に関して読んだのですが、
朝、昼、夕方、夜・・・と
1日の自然な流れに逆らうような温度変化、給餌などは体調を崩します。
ちなみに水温は気温の変化より少し遅れますので夕方がMAXです。
逆に下温時は日没後に下げるとより自然と言えます。
ここまで注意すれば飼い主が行う後方支援は万全です。

番外編

また温度変化を緩慢にするのにヒーターを使わなくても
発泡スチロール内に入れたり、窓から遠ざけたり、夜間は蓋をするだけでも
かなり効果がありますので、時期やお住まいの環境で大きく変わる事ですが
可能ならこのような対応で十分なことも多いと思いますので参考まで。

逆にヒーター使用時でも容器が変温しやすい構造だったり
ヒーターの能力が水槽のサイズに対して低すぎる場合は
夜中に温度が下がるなどの問題が出ることもあります。
これを把握せず温度が保てていると判断すると結果は期待通りになりませんので
可能ならデジタル温度計(最低最高水温をメモリできるもの)を利用して
夜中(夜明け前)何度まで下がっていたかを確認してください。
問題があれば治療容器を断熱の効くものにするなど対応が必要です。

温度を下げる

治療が終わり完治してからしばらくは温度を下げず
たとえ1週間でもそのまま安定させます。
その後徐々に温度を下げますが
まずはヒーターの設定温度を1℃だけ下げてください。
※気温に連動して下げるのではなく3日~5日おきに
徐々に水温を1度下げてl金魚が温度変化に十分についていけるような
マイルドな減温をします。
これは同時に温度の急降下をさせずに金魚のコンディションを高く保つ為ですので
連続して何日も1日に1℃下げたりはしないでください。
ある日、前の日よりも1℃下がる というのは問題ありませんが
これが明日も、明後日も1℃下がると3日で3℃も下がるので良くないのです。
最低でも3日間は同じ温度のまま・・・これを基本としてください。
このまま下げていく場合は数日おきに1℃下げて室温付近までゆっくりと下げながら慣れさせます。
途中病気が再発しそうなら下げるのを遅らせて安定させて金魚が慣れてきたらまた下げます。
こうすればかなり安心できるはずです。

(→)冬に来た3匹の子デメに行った16度の温度差調整
僕はアルビノの導入時はお店の水温26℃を自宅の金魚水槽の水温10℃に合わせるのに
1ヶ月近くかけました。
実際はもっと早く下げても多分大丈夫でしょうから
大げさに思われるかもしれませんが
導入時の金魚は急に死んだりする事も多いので
ここまでしないと確実に安心とは言えないですし、
失敗すれば白点病や転覆病で無駄な時間を治療の為に過ごす事になるので
金魚と自分の両方のために慎重な下温を実行しています。
そしておかげさまでアルビノは未だ一度も病気も無く
来た時の元気なまま毎日水槽内を暴走しています。
それまでは
まあいいか、
多分いけるだろう・・・
そんな感じで導入を失敗していたので
アルビノ以降はウチに来てから3ヶ月はVIF扱いで大切にデリケートに扱う事に決めています。
たったそれだけのことで金魚は元気で居られるのです。
だからそれくらいはしてあげようと思います。

以上です。
かなり安全側にシフトした考え方ですが
温度条件を安定させてやる事が如何に金魚を救うときに重要か痛感する経験を多くしてきましたので
金魚の病気の治療のお役に立てばと思います。
飼いはじめの頃は派手な情報に惑わされたり
冬など寒い時期は時に 病気=加温治療 という方向に流されやすいですが
金魚の置かれている状況や病気の原因によっては逆効果も多いのでご注意ください。
常に局部的ではなく総合的に判断してあげてください。

次回は危険側にシフトした考え方についてですw
記事差し替えました。後日お送りします。